9月といえば「SEPTEMBER」。
まず思い浮かぶのはEarth, Wind & Fireですが、同時に思い出されるのが竹内まりやさんの「SEPTEMBER」です。ということで今週は竹内まりやさん特集!
Plastic LoveのバズとCity Pop再評価
最近では「Plastic Love」が海外でバズり、竹内まりやさん=City Popというイメージがすっかり定着しました。調べてみると、バズっていたのは2017年頃。もう8年前のことだそうで、「つい最近」と思っていた自分にとっては時の流れの速さを実感するばかりです。
ただ、自分の感覚では竹内まりやさんは「駅」「シングルアゲイン」などムード歌謡路線の代表曲のイメージが強く、City Popと言われると??という戸惑いもありました。当時は「ニューミュージック」という言葉が主流でしたからね。
竹内まりや=アイドルに楽曲提供の名人
私の中では「アイドルに楽曲を提供している明るくキャッチーな作曲家」という印象が強いです。
代表的な提供曲を並べると――
- 1981年 松本伊代「センチメンタル・ジャーニー」
- 1982年 河合奈保子「けんかをやめて」
- 1983年 早見優「夏色のナンシー」
- 1984年 薬師丸ひろ子「元気を出して」
- 1986年 中森明菜「駅」
- 1997年 広末涼子「MajiでKoiする5秒前」
中でも印象深いのは「けんかをやめて」。
けんかをやめて 二人をとめて
私のために争わないで もうこれ以上
さらっと歌われていますが、実は”二人の男を手玉に取る女性が他人事のように上から目線でなんか言ってる”みたいな歌詞なんですよね。竹内まりやさんの歌詞には、たびたびこういう女性キャラが登場するような気が。。。
今回取り上げる3曲
そんな中から、私が特に好きな竹内まりや作品を3曲カバーしました。と言っても、SEPTEMBER、不思議なピーチパイは竹内まりやさんご本人の作詞・作曲ではありませんでした。SEPTEMBERなんて松本隆さんの作詞じゃないっすか。めちゃめちゃヒットメーカー。あれ?
- SEPTEMBER(1979年)
- 不思議なピーチパイ(1980年)
- 元気を出して(1984年/薬師丸ひろ子)
「元気を出して」は、薬師丸ひろ子さんのアルバム『古今集』に収録されていて、このアルバム(LPレコード)、持っていてよく聴いていました。なんだかんだ今回カバーした曲で竹内まりやさん作詞・作曲はこの曲だけでした。

シンセと音作りの試行錯誤
ブラス音のArturia CZ-V
「SEPTEMBER」や「不思議なピーチパイ」ではブラスが印象的。1979年当時は生ブラスが主流だと思いますが、今回はあえてArturia CZ-V(CASIO CZシリーズのエミュレーション)でシンセ・ブラスを使用しました。
CASIOと聞くと“おもちゃシンセ”のイメージがありますが、音だけ聴くと数百万クラスのビンテージ・シンセに負けないサウンドを奏でてくれます。
Expression問題
ところが問題発生。CZ-VにはMIDIの**Expression(エクスプレッション、CC11)**機能が無い!
ここで少し補足。
MIDIでは、楽器の音量をコントロールする方法が2種類あります。
- Volume(CC7) … 「その楽器全体の音量」を決めるつまみ。ミキサーのフェーダーみたいなイメージ。
- Expression(CC11) … 「演奏している途中の音量変化」をコントロールする機能。ブラスやバイオリンのように、吹きながら・弾きながらだんだん音を強くしたり弱めたりする“表情”をつけられる。
つまり、**Volumeは全体の音量、Expressionは演奏中の抑揚(ニュアンス)**を担当します。
通常、ブラスやストリングスをリアルに鳴らしたいときには、このExpressionで「クレッシェンド(だんだん強く)」や「ディミヌエンド(だんだん弱く)」を表現するのが基本です。
ところが、今回使ったCZ-VにはこのExpression機能が無い。
結果として、MIDIデータ上では「だんだん大きくなれ」と指示していても、音は一定のまま。
仕方なく、今回はMaster Volumeを動かして擬似的にクレッシェンドを再現しました。ただ、VolumeとExpressionは役割が違うため、ちょっと苦しい対応だったな…と感じています。

Mode Bass 2で新発見 – ピッチベンド幅の変更ができる!
もう一つ今回の制作で大きな発見がありました。それが MODO BASS 2 の「SLIDE RANGE」設定です。
YAMAHAのMIDIデータは非常によくできているのですが、基本的にGM音源(General MIDI)対応シンセを前提に作られています。ところが、最近のソフトシンセや専用音源ではGM非対応のものも多く、設定がうまく反映されないことがよくあります。
特に厄介なのが RPN:Pitch Bend Sensitivity(ピッチベンド幅)。
ピッチベンドを上下に動かしたときに「どのくらいの幅で音程が変化するか」を決めるパラメータです。
- NIのSession Guitarシリーズなどはリアル性を重視しているため、ベンド幅は±2半音で固定。
- しかしYAMAHAのMIDIデータでは**±12半音**といった極端な設定がされている場合があるんです。
これは「スライド奏法」をピッチベンドで表現しようとしているからなのですが、実際のギターで12半音もチョーキングしたら弦が切れるレベル。そのため、リアルさを追求しているSession Guitaristでは対応してもらえず、仕方なくGM対応の TTS-1 を使わざるを得ないケースも多かったのです。
ベースでも同じ問題があって、MIDIデータにスライド奏法が含まれている場合、MIDIデータをで修正したり、時には諦めていました。
ところが今回、MODO BASS 2をじっくり触っていて「SLIDE RANGE」という設定を発見。
これがSONARでいうところの Pitch Bend Sensitivity に相当するもので、自由にベンド幅を変更できることがわかりました。
おかげで、これまで表現できなかった「ブーーン」と滑らかに上がるベースのスライドが自然に再現可能に。これは今後の制作にとって大きな前進で、MIDIデータの再現性を一段と高めてくれます。


コーラスの棒読み問題
「SEPTEMBER」後半のコーラス「しゅびどぅびどぅびしゅびどぅばっば」。今回は小春六花さんと夏色花梨さんに歌ってもらいましたが、ちょっと棒読み感が…。もっとノリを出したかったのですが、今回は時間切れ。また後日追い込みたいと思います。
配信予定
🎵【カバー花隈千冬】SEPTEMBER / 竹内まりや(1979年)
1979年12月「第21回日本レコード大賞」新人賞受賞曲
📅 9月5日(金)19:00 配信開始
👉 「SEPTEMBER」視聴はこちら
🎵【カバー花隈千冬】元気を出して / 竹内まりや(1984年)
薬師丸ひろ子アルバム『古今集』収録曲
📅 9月6日(土)19:00 配信開始
👉 「元気を出して」視聴はこちら
🎵【カバー夏色花梨】不思議なピーチパイ / 竹内まりや(1980年)
資生堂 ’80春キャンペーンCMソング
📅 9月7日(日)19:00 配信開始
👉 「不思議なピーチパイ」視聴はこちら
公開済みカバー曲一覧
これまでのカバー曲は以下のページにまとめています。
お気に入りの曲があれば、ぜひリピート再生&高評価&チャンネル登録お願いします!
