YouTubeでボカロ曲を聴いていたら、「あれ?これボカロなの?」と耳を疑うほど自然な歌声に出会いました。調べてみると、最近の音声合成ソフトはかなり進化しているんですね。
ボカロ=VOCALOID、だけじゃない時代へ
「ボカロ」とは、もともとヤマハが開発した音声合成ソフト「VOCALOID(ボーカロイド)」の略称で、現在ではジャンルや文化そのものを指す言葉として定着しています。しかし、今ではヤマハ以外のメーカーも参入し、より自然で柔軟な歌声を実現する音声合成ソフトが登場しています。
その中で私が注目したのが Synthesizer V(シンセサイザーブイ)。これは2019年に設立されたDreamtonics社(創業者は中国出身のエンジニア)によって開発された音声合成ソフトです。
Synthesizer Vとの出会い
VOCALOIDには独特の癖があり、「あっ、ボカロっぽい」とわかってしまうことも多いですが、Synthesizer Vはその癖が非常に少なく、まるで人が本当に歌っているかのような自然さがあります。
昭和歌謡やバラードなど、しっとりとしたカバーを作っていきたい私には、Synthesizer Vの歌声のほうがしっくりきました。そして、いろいろ調べていくうちに出会ったのが「花隈千冬(はなくまちふゆ)」でした。
花隈千冬と小樽潮風高校Project
花隈千冬は、TOKYO6 ENTERTAINMENTが展開する音声合成キャラクターで、声優・奥野香耶(おくのかや)さんの声をもとに作られています。さらに、小春六花、夏色花梨とともに、「小樽潮風高校Project」として、架空の高校に通う軽音部のメンバーとしてキャラクター展開されています。
このキャラクターたちは、単なる音声ソフトではなく、まるでタレントのようにSNSでも活動しており、YouTubeでカバー曲をアップし、それをX(旧Twitter)に投稿すると、キャラクター自身がリポストしてくれるというユニークな仕組みがあります。これは正直、地味にうれしい機能で、私が彼女たちを採用するきっかけにもなりました。
三人娘といえば…やっぱりキャンディーズ!
この3人をメインにカバー曲を作っていこうと決めたとき、自然と頭に浮かんだのが昭和の三人娘、キャンディーズ。同じ三人組というだけで親近感が湧きました。
思えば、女子三人組ってあまり多くないですね。私の中ではキャンディーズとPerfumeぐらい。皆さんは他に思いつきますか?
キャンディーズと松田聖子の時代の違い
ところで、松田聖子のデビューは1980年、キャンディーズのデビューは1973年。たった7年の差ですが、カバーを作っているとその差はかなり大きく感じられます。
松田聖子の楽曲ではシンセサイザーがふんだんに使われていますが、キャンディーズはほとんどがアコースティックな楽器中心。時折シンセは入っていますが、ごくわずか。その分、生楽器の音が力強く前に出ていて、編曲家たちの熱量を感じます。
SESSION HORNSで再現した「ハートのエース」
たとえば「ハートのエースが出てこない」では、Native InstrumentsのSESSION HORNS PROを使って、華やかなトランペットの音を再現しました。生楽器っぽいトーンをしっかり出すことで、当時の空気感に近づけたと思います。
年下の男の子のドラムロール
「年下の男の子」では、曲途中に登場するドラムロールが印象的。この時代はまだ電子ドラムなどが使われていなかったので、アコースティックドラムだけで最大限のアイドル感を演出しようという工夫が感じられます。
そして伊藤蘭のしゃくりあげ
歌唱面でいえば、語尾のしゃくりあげる表現がとても印象的。松田聖子のカバーでも使っていましたが、伊藤蘭のほうがより大胆で多用していた印象があります。こうした発見ができるのも、カバーを作る楽しみのひとつですね。
配信予定のお知らせ
以下のスケジュールでキャンディーズのカバー曲を公開します!ぜひチェックしてみてください。
🎵 8/1(金)19:00公開
【カバー小春六花】年下の男の子 / キャンディーズ(1975年2月:キャンディーズ初のベスト10入り、第5弾シングル)
🔗 https://youtu.be/AdYLhHI-wcs
🎵 8/2(土)19:00公開
【カバー小春六花】微笑がえし / キャンディーズ(1978年2月:最後のシングル・キャンディーズ最大のヒット)
🔗 https://youtu.be/xDrglNywWBM
🎵 8/3(日)19:00公開
【カバー小春六花】ハートのエースが出てこない / キャンディーズ(1975年12月:8枚目のシングル)
🔗 https://youtu.be/9b1649Hj3PQ
カバー曲一覧はこちら!
これまでに公開してきたカバー曲の一覧は以下のページにまとめています。気に入った曲があれば、ぜひリピート再生していただけたらうれしいです!